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白色LEDドライバに調光機能を付加するDesign Ideas 計測とテスト

カラー表示を備える携帯電話では、消費電力の要求が厳しい。新しいアプリケーションが次々と登場し、低電力設計が不可欠になっている。そこで、今回提案したいのは応用範囲の広い調光方法だ。

» 2015年06月12日 11時30分 公開

 カラー表示を備える携帯電話では、消費電力への要求が厳しくなる一方である。新しいアプリケーションが次々と登場し、低電力設計が不可欠になっている。携帯電話は、ゲームやMP3など、消費電力の多いマルチメディア機能を備える場合がある。消費電力のデータを調べてみると、50%はカラー画面のバックライト用となっている。

 図1は、昔ながらのバックライト・ドライバIC(LM2794/95)により調光機能を持たせる方法である。外部からのPWM信号を変調して、白色LEDの電流を制御する。オン/オフ時間比(デューティサイクル)により、フル・オンからフル・オフまで変えられる。ただし、ベースバンド/アプリケーション・プロセッサが、PWMタイマーを備えている必要がある。

図1:昔ながらのLED調光回路<br>外部からのPWM信号がドライバのデューティサイクルを制御する。 図1:昔ながらのLED調光回路 (クリックで拡大)
外部からのPWM信号がドライバのデューティサイクルを制御する。

 図2は、調光機能を得る別の方法で、調節可能なアナログ入力インターフェースを用いる。これには、デジタルベースバンドまたはアプリケーション・プロセッサにD-Aコンバータ(DAC)ブロックが必要になるという問題がある。

 ここで提案するのは、応用範囲の広い調光方法である(図3)。ヘッドホンアンプLM4811は、DACとして動作するように設計されてはいないが、ここではちょっとした工夫でそれを可能にしている。構成は次のように単純明解である。

図2:アナログ入力インターフェースを用いたLED調光回路<br>この回路では、アプリケーション・プロセッサーにDACが搭載されている必要がある。 図2:アナログ入力インターフェースを用いたLED調光回路 (クリックで拡大)
この回路では、アプリケーション・プロセッサにDACが搭載されている必要がある。

 LM4811の出力をLM2794のBRGT端子に接続する。LM4811の出力電流は、デジタルボリューム・コントロールブロックに格納されているデジタル値に直接比例する。クロックの立ち上がりエッジは、アップ/ダウン端子の極性に従って、LM4811の出力電流を制御し、白色LEDドライバの出力電流を設定する。

 この方法に必要なのは、2本の汎用入出力ラインだけで、最近のベースバンド/アプリケーション・プロセッサほぼ全てに備わっている。さらに、LED電流をいったん設定すれば、プロセッサのサイクルは必要としない。従って、このアプローチはソフトウェア面でもハードウェア面でも最適である。

図3:ヘッドホンアンプを活用したLED調光回路<br>ヘッドホンアンプをデュアル構成にして、白色LEDの調光回路に活用できる。 図3:ヘッドホンアンプを活用したLED調光回路 (クリックで拡大)
ヘッドホンアンプをデュアル構成にして、白色LEDの調光回路に活用できる。

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※本記事は、2008年7月29日にEDN Japan臨時増刊として発刊した「珠玉の電気回路200選」に掲載されたものです。著者の所属や社名、部品の品番などは掲載当時の情報ですので、あらかじめご了承ください。
「珠玉の電気回路200選」:EDN Japanの回路アイデア寄稿コラム「Design Ideas」を1冊にまとめたもの。2001〜2008年に掲載された記事の中から200本を厳選し、5つのカテゴリに分けて収録した。

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