カラー表示を備える携帯電話では、消費電力の要求が厳しい。新しいアプリケーションが次々と登場し、低電力設計が不可欠になっている。そこで、今回提案したいのは応用範囲の広い調光方法だ。
カラー表示を備える携帯電話では、消費電力への要求が厳しくなる一方である。新しいアプリケーションが次々と登場し、低電力設計が不可欠になっている。携帯電話は、ゲームやMP3など、消費電力の多いマルチメディア機能を備える場合がある。消費電力のデータを調べてみると、50%はカラー画面のバックライト用となっている。
図1は、昔ながらのバックライト・ドライバIC(LM2794/95)により調光機能を持たせる方法である。外部からのPWM信号を変調して、白色LEDの電流を制御する。オン/オフ時間比(デューティサイクル)により、フル・オンからフル・オフまで変えられる。ただし、ベースバンド/アプリケーション・プロセッサが、PWMタイマーを備えている必要がある。
図2は、調光機能を得る別の方法で、調節可能なアナログ入力インターフェースを用いる。これには、デジタルベースバンドまたはアプリケーション・プロセッサにD-Aコンバータ(DAC)ブロックが必要になるという問題がある。
ここで提案するのは、応用範囲の広い調光方法である(図3)。ヘッドホンアンプLM4811は、DACとして動作するように設計されてはいないが、ここではちょっとした工夫でそれを可能にしている。構成は次のように単純明解である。
LM4811の出力をLM2794のBRGT端子に接続する。LM4811の出力電流は、デジタルボリューム・コントロールブロックに格納されているデジタル値に直接比例する。クロックの立ち上がりエッジは、アップ/ダウン端子の極性に従って、LM4811の出力電流を制御し、白色LEDドライバの出力電流を設定する。
この方法に必要なのは、2本の汎用入出力ラインだけで、最近のベースバンド/アプリケーション・プロセッサほぼ全てに備わっている。さらに、LED電流をいったん設定すれば、プロセッサのサイクルは必要としない。従って、このアプローチはソフトウェア面でもハードウェア面でも最適である。
【アナログ機能回路】:フィルタ回路や発振回路、センサー回路など
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【ディスプレイとドライバ】:LEDの制御、活用法など
【計測とテスト】:簡易テスターの設計例、旧式の計測装置の有効な活用法など
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※本記事は、2008年7月29日にEDN Japan臨時増刊として発刊した「珠玉の電気回路200選」に掲載されたものです。著者の所属や社名、部品の品番などは掲載当時の情報ですので、あらかじめご了承ください。
「珠玉の電気回路200選」:EDN Japanの回路アイデア寄稿コラム「Design Ideas」を1冊にまとめたもの。2001〜2008年に掲載された記事の中から200本を厳選し、5つのカテゴリに分けて収録した。
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