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車載用アンプ出力のための過電圧保護回路Design Ideas アナログ機能回路(2/2 ページ)

» 2015年08月20日 11時30分 公開
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 通常動作時には、IC1の出力のDCレベルは電源電圧VCCの1/2、すなわちVCCが5Vであれば2.5Vになる。このとき、2つのMOSFETはゲートに11Vが印加されて、ゲート電圧は2.5Vを引いても十分に高くオンになっている。また、IC2の出力は、FB端子の電圧が内部の閾(しきい)値電圧である0.6V以下なのでオフになる。

 ここで、アンプの出力電圧のいずれかが5Vを超えると、D3が導通し、その電流が抵抗R5、R6に流れてIC2のフィードバック入力(FB端子)に加わる電圧が閾値である2.5Vよりも高くなる。それにより、IC2の出力端子がほぼグラウンドレベルになる。これに伴って、2つのMOSFETはゲート電圧が11Vからほぼグラウンドレベルに低下するのでオフになる。その結果、アンプ出力に加わっていた高電圧が遮断される。MOSFETはバッテリーの電圧が連続して印加されても耐えられるので、過電圧の原因である短絡が治まれば回路は正常動作に復帰する。

 なお、上記の回路保護動作には遅延があるので、短絡が発生した瞬間の保護のためにツェナーダイオードD1、D2を使用している。

主要なノードの信号波形

図2:主要なノードの信号波形 (クリックで拡大)

 図1の回路の主要なノードの信号波形を図2に示した。「①」は一方のアンプ出力の波形であり、2.5VDCに1kHzの正弦波が重畳している。「②」はケーブル端子の波形である。この波形は、始めはアンプ出力と同じで、200μs経過後に18Vのバッテリー電圧に短絡した様子を表している。「③」はシャントレギュレータIC2の出力端子の波形であり、始めは11Vだが、200μs経過後の過電圧印加に対応してグラウンドレベルに低下している。「④」はケーブルに流れる電流の波形である。最初は正弦波形だが、過電圧発生後は0になる。

 図1の回路で使用している部品の定数は、アンプが電源電圧5Vで動作することを前提として設計したものだ。電源電圧の条件が異なる場合には、抵抗R3とR4の値を調整する。シャントレギュレータとしては、出力端子と独立した電源入力端子を有するタイプのものを使用すべきだ。ちなみに、この回路は28Vの電源ラインに繰り返し短絡しても破損することはない。

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