ハイサイド・ドライバーは、片側を接地したソレノイド型コイルなどの負荷を駆動するために用いられている。そのようなドライバーでは、故障を避けるために短絡保護が必要だ。そこで小さな回路面積で、反応の早い保護回路付きハイサイド・ドライバー回路を紹介する。
ハイサイド・ドライバーは、片側を接地したソレノイド型コイルなどの負荷を駆動するために用いられている。そのようなドライバーでは、故障を避けるために短絡保護が必要だ。高分子材料を使ったヒューズは、一般に反応が遅い。電流制限回路を個別部品で作成すると回路面積が大きくなり面倒だ。
図1の回路にはハイサイド・スイッチとしてドロップ・アウト電圧が低いリニア・レギュレーターIC1を採用した。レギュレーターは、温度を監視して高温になったときにレギュレーター自身の出力を遮断する熱シャットダウン機能と、電流制限機能を内蔵している。パッケージは8ピンのSOPと小さい。図1のツェナー・ダイオードは過渡電圧から回路を保護するために、コンデンサーは回路の安定性を保証するために挿入した。
この回路は24Vの負荷に100mAの電流を供給できる。電磁弁やリレーのコイルなど中型の負荷には、この仕様で十分である。
回路を短絡すると、レギュレーターは電流を160mA以下に制限する。この電流によって発熱し、高温になる。このため、熱シャットダウン機能が動作する。回路が短絡状態でなくなると、レギュレーターの温度が下がり正常な動作に戻る。
図2の上側の波形は、回路を1.3s短絡させたときのレギュレーターの出力電圧である。下側の波形は、短絡電流である。この回路により、電流を自動的に200mA未満に制限できた。レギュレーターは短絡発生後500msで熱シャットダウン機能が動作した。短絡状態を解除するまで、レギュレーターは遮断と短絡の状態を繰り返す。
【アナログ機能回路】:フィルタ回路や発振回路、センサー回路など
【パワー関連と電源】:ノイズの低減手法、保護回路など
【ディスプレイとドライバ】:LEDの制御、活用法など
【計測とテスト】:簡易テスターの設計例、旧式の計測装置の有効な活用法など
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※本記事は、2008年7月29日にEDN Japan臨時増刊として発刊した「珠玉の電気回路200選」に掲載されたものです。著者の所属や社名、部品の品番などは掲載当時の情報ですので、あらかじめご了承ください。
「珠玉の電気回路200選」:EDN Japanの回路アイデア寄稿コラム「Design Ideas」を1冊にまとめたもの。2001〜2008年に掲載された記事の中から200本を厳選し、5つのカテゴリに分けて収録した。
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