既存の電力線を活用する音声通信ソリューション:ルネサス PLC音声通信ソリューション
ルネサス エレクトロニクスは、音声通信とデータ通信を既存電力線網に統合する「PLC(電力線通信)音声通信ソリューション」を発表した。音声送信時の優先制御により、安定した音声品質を提供する。
ルネサス エレクトロニクスは2017年4月、音声通信とデータ通信を既存電力線網に統合する「PLC(電力線通信)音声通信ソリューション」を発表した。既存施設へ音声付きセキュリティシステムなどを追加できる他、新規施設で各種センサーや音声通信の配線を1つの電力線網に統合した場合、配線数を約60%、施工コストを約30〜40%削減できる。
同ソリューションは、PLCの送受信を処理するLSI「R9A06G037」と音声コーデックを処理するマイコン「RX651」で構成される。音声通信を行うデバイスに対して優先的に送信権を与えるなど、音声送信時の優先制御によって音の途切れを限りなくゼロに抑制する技術を採用。そのため、同一電力網でデータ通信と混在しても、安定した音声品質を提供できる。
「PLC(電力線通信)音声通信ソリューション」のイメージ
さらに、狭帯域PLC用LSI「R9A06G037」を活用し、通信経路内の中継機能がなくても直流電力線1km以上の長距離伝送と128ノード以上の音声通信ができる。PHY層を処理するDSPには、動作周波数の高速化およびPLC処理向けの専用命令を追加し、最小受信感度や電力線上で発生するノイズへの耐性を高めた。
音声コーデックについては、RX651用にさまざまなソフトウェアスタックを構築予定で、ユーザーが選択する音声コーデックを容易に実装可能になる。また、レファレンスボードも開発され、今後これらを製品化して2017年9月ごろより順次提供するとしている。
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