導電性高分子キャパシターは図4、図5に示すように2つのタイプがあります。
この構造の比較を導電性高分子タンタル電解や湿式アルミ電解も含めて表2に比較します。
陽極電極 | 誘電体 | 陰極材料 | 引き出し電極 | セパレータ | 封止材料 | 電荷の キャリア |
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導 電 性 高 分 子 |
(a)アルミ電解 (巻回形) |
化成 アルミ箔 |
酸化 アルミ |
導電性 ポリマー |
エッチングアルミ箔 | 電解紙 (隔離紙) |
・ゴムパッキング ・樹脂封口板 |
電子 |
(b)アルミ電解(積層形) | グラファイト | ―――― | ・樹脂成形 | |||||
(c)タンタル電解(積層形) | 焼結 タンタル |
五酸化 タンタル |
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〈参考〉 湿式アルミ電解 キャパシター |
化成 アルミ箔 |
酸化 アルミ |
電解液 | エッチングアルミ箔 | 電解紙 (隔離紙) |
・ゴムパッキング ・ゴム貼り積層板 ・樹脂封口板 |
イオン | |
表2、図4、図5の区分によってキャパシターの形状と電解質の組み合わせは表3のようになります。
導電性高分子アルミ電解 | 導電性高分子タンタル電解 | ||
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リード型(ラジアル部品) | 〇 | × | |
SMD | Vチップ* | 〇 | × |
直方体(積層型) | 〇 | 〇 | |
*バーチカルチップ |
今回は導電性高分子キャパシターの概要を説明しました。次回は作り方を中心に説明をしたいと思います。
加藤 博二(かとう ひろじ)
1951年生まれ。1972年に松下電器産業(現パナソニック)に入社し、電子部品の市場品質担当を経た後、電源装置の開発・設計業務を担当。1979年からSPICEを独力で習得し、後日その経験を生かして、SPICE、有限要素法、熱流体解析ツールなどの数値解析ツールを活用した電源装置の設計手法の開発・導入に従事した。現在は、CAEコンサルタントSifoenのプロジェクト代表として、NPO法人「CAE懇話会」の解析塾のSPICEコースを担当するとともに、Webサイト「Sifoen」において、在職中の経験を基に、電子部品の構造とその使用方法、SPICE用モデルのモデリング手法、電源装置の設計手法、熱設計入門、有限要素法のキーポイントなどを、“分かって設計する”シリーズとして公開している。
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