テクノロジーの進歩により、EVバッテリーのエネルギーの密度と寿命の向上が実現している一方で、それらの開発が行われている研究室(ラボ)の規模も拡大しています。
また、小規模なラボを運用する多くの中小バッテリーメーカーでは、数少ないテストシステムをスプレッドシートなどの初歩的なツールを使い、手作業で管理、調整しています。近年、こうしたバッテリーメーカーは、事業の急速な拡大に直面しており、ラボマネジャーは、ワークフローを管理し、テスト資産を効率的に調整する生産的な方法を見つける必要性に迫られています。
何千ものテストチャネルを備えた巨大なテストラボでは、以下のような、新たな課題が生まれています。
これらの要件に加えて、バッテリーセル/モジュール/パックといった被試験デバイス(DUT)が、「時間同期」と呼ばれるテストで、設計された通りに動作することを確認することも必要です。
一般に、重要なパラメータには以下のようなものがあります。
これらのパラメータを、複数の顧客のDUTの数(場合によっては複数の施設にまたがっている)で掛け算してみると、手作業によるデータ追跡方法では、もはや困難なことが明らかです。
インダストリー4.0の登場により、エレクトロニクス業界の量産で初めて導入されたビッグデータの活用は、EV用バッテリー業界でも加速しています。事業規模を拡大しているバッテリーメーカーは、ソリューションプロバイダーと連携し、自動化ツール、バッテリー解析ソフトウェアを使用して、ラボ運用の迅速な設定を行い、テストプランを展開しています。
ラボのエンド・ツー・エンドのワークフロー全体を可視化して管理するプラットフォームにより、より効率的かつ容易に、テストオーダーの管理、テスト能力やシーケンスの計画と最適化、解析用データの共有などを行えるようになります。
単一のバッテリーセルの設計がどれだけ優れていても、その性能はモジュールやパック内の相互接続や、EVの実環境に依存します。バッテリーの状態は、劣悪な温度環境、エネルギーサイクル(使用量)、充電の速さの影響を受けます。また、車載や外部の電気自動車充電器(EVSE)など、さまざまな充電インタフェースでの円滑なエネルギー変換も重要です。図3は、EVバッテリーが接続されている複雑な環境を示しています。
EVのパワーは、電力と航続可能距離を向上させるためにバッテリーセル、モジュール、パックをどのように連携動作させるかによって決まります。図4に示すように、単一セルの工程は設計ラボから始まりますが、その開発、製造、車両への組み込みの各ステップにおいて、複数のインタフェースがあります。
この工程の各段階における総合的な設計とテストが、自動車とそのドライバー(運転者)、同乗者の安全性と信頼性を確保し、こうした品質がスケールメリットとなってバッテリーの低価格化が進むと考えられます。
業界のビジョンは、EVの航続可能距離を延ばすことだけではありません。最終的には、優れた設計のバッテリーが、地球環境のため真にクリーンで再生可能なエネルギー源を目指す、世界的な運動の中心的役割を担っていくと考えられます。
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