図6ではICの電源端子の18ピンにはやはりパスコンはなかった。
赤枠で囲った部分に47μF/25Vの電解コンデンサーがあり、10ピンに+と11ピンに−が接続されていた。図6では10ピンと14ピンへ電解コンデンサーから電流が供給されていた。この電解コンデンサーのESRは重要だ。これが劣化すると、右側にあるFETのゲート電流が不足して生成されるトランスのオン電圧が上がり出力の電圧が下がって動作不良になる可能性がある。テレビの電源不良の原因はこの電解コンデンサーのESRの劣化と思われた。
依頼者へこの47μF/25Vの電解コンデンサーの交換を依頼した。この電解コンデンサーはトランスを駆動する高周波の電流が流れるので発熱し劣化しやすい。また、テレビの中央部は温度が上がり電解コンデンサーが劣化しやすいので、不良の原因であることはほぼ間違いないと思われた。
数日後に依頼者へ状況を確認すると、ファンや周辺の綿ぼこりを除去しクリーニングしたらテレビは正常に動作したということだった。交換する部品は既に入手しておりテレビが再び、動作不良になったら修理するということだった。その後3年経過したがまだ報告はない。ファンのゴミを除去し内部の温度が下がったので今も動作しているようだ。電解コンデンサー交換の結果はまだわからない。
最近はスマートフォンのカメラの画像が鮮明になり、明確な画像なので不良部品や型名がはっきり見えて、不良回路の情報が入手しやすくなった。修理の仕事もスマートフォンとSNSのおかげでリモート修理へと変わっていくだろう。
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