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従来比1/20以下サイズのGaN-HEMTを用いた10W出力ミリ波帯モジュール富士通研 無線/レーダー用モジュール

富士通研究所は、窒化ガリウム(GaN)による高電子移動度トランジスタ(HEMT)を用いて、ミリ波帯(30G〜300GHz)で使用可能な10W出力の送受信モジュール技術を開発した。

» 2013年06月05日 16時15分 公開
[EDN Japan]

 無線通信分野では、通信に使う周波数帯域が限られ、これまで使用していないミリ波帯などより高い周波数帯域を使った大容量無線通信が検討されている。同時に、レーダーもより高い周波数を使用するほど、物体を精密に測定できるため、ミリ波帯の利用が進むとみられている。


ミリ波帯の利用シーン 出典:富士通研究所

 無線通信、レーダーでミリ波帯を利用するには、ミリ波帯まで動作する送受信モジュールが必要になる。広いエリアをカバーするには、モジュールの高出力化が必要になるが、出力を高めると発熱量が増えるためモジュールの放熱性を高めなければならない。加えて高い周波数では信号を伝送する配線とチップとの接続部分での損失が大きくなるため、接続部分の損失を抑える技術も必要になる。現在のミリ波帯高出力モジュールは、送信部と受信部ごとにパッケージ化されている。

 富士通研究所では、モジュールの放熱性と、接続部の損失を低減する技術を開発し、10Wの高出力を実現しながら送受信部を1パッケージ化することに成功した。

開発したミリ波帯送受信モジュール写真(上)と断面模式図 出典:富士通研究所

 放熱性を高める技術として、多層セラミック基板にヒートシンクを埋め込む構造を開発した。このヒートシンク埋め込み構造により、「放熱性は従来に比べ、5倍になった」(富士通研)という。信号入出力接続部の損失低減技術では、ヒートシンク部の高周波での損失を低減する広帯域接続構造を開発した。これにより、従来比2倍となる周波数40GHzまでの高周波信号を、モジュール内で伝送できるようになったとする。

 これらの技術によって実現した送受信モジュールのサイズは12×36×3.3mm。富士通研では「送受信でパッケージが別個になっている従来モジュールに比べて1/20以下のサイズに小型化した。広帯域通信やレーダーなどの機器の性能向上と小型、軽量化が可能になった」としている。

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