ロームの「BD39001EKV-C」は、車載マイコン向けの汎用システム電源ICである。さまざまな車載マイコンに対応できる汎用性と、アイドリングストップ搭載車のバッテリ変動にも対応できる機能を備えている。
ロームは2014年10月、車載マイコン向けの汎用システム電源IC「BD39001EKV-C」を発表した。2014年12月より量産を始める。さまざまな車載マイコンに対応できる汎用性と、アイドリングストップ搭載車のバッテリ変動にも対応できる機能を備えている。
BD39001EKV-Cは、HEV/EV向けインバータをはじめ、自動車の電動パワーステアリング、燃料噴射装置、ADAS(先進運転支援システム)などに搭載される制御用マイコンに向けたシステム電源IC。0.35μmのBiCMOS技術を用いて製造し、耐圧40Vと最低駆動電圧4Vを実現している。すでにサンプル出荷中で、サンプル価格(税別)は500円。
新製品は2つの大きな特長を備えている。1つはアイドリングストップ搭載車への対応である。新たな開発した独自の昇降圧自動切り替え制御方式を採用した。昇圧回路と降圧回路を自動で切り替えることができるため、アイドリングストップ後のエンジン再スタート時に、バッテリ電圧が一時的に5V以下となっても、搭載されたマイコンに対しては正常動作に必要な電圧を安定して供給することができるという。バッテリ電圧が変動しても電力変換効率は、従来製品に比べて最大5%向上することも確認している。
もう1つは、さまざまな車載マイコンに対応できる汎用性の高いシステム電源ICであることだ。EN端子に外付けのコンデンサを接続することで、各種マイコンに合わせた起動シーケンスを設定することができる。現状では、機能モジュールごとに異なるマイコンが用いられている場合には、電源ICもマイコンの仕様に合わせた専用品を用意して搭載するケースが少なくなかった。汎用性の高い電源ICを採用することで、使用部品の共通化が可能になるという。
この他、BD39001EKV-Cはウィンドウ式ウォッチドッグタイマを搭載している。マイコン信号の有無を監視して、マイコンに異常があった場合にはリセットして正常動作に戻す従来のウォッチドッグタイマ機能に加えて、周波数変動も監視することができる機能である。これにより、マイコンの信頼性をさらに向上させることが可能となる。今後、出力数や出力電圧の異なる製品群も用意していく予定である。
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