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商用電源(100V)を直接マイコンの端子に接続できますか?Q&Aで学ぶマイコン講座(9)(1/3 ページ)

マイコンユーザーのさまざまな疑問に対し、マイコンメーカーのエンジニアがお答えしていく本連載。9回目は、上級者の方からよく質問される「商用電源(100V)を直接マイコンの端子に接続できますか?」についてです。

» 2014年12月15日 17時30分 公開

 素朴な疑問から技術トラブルなどマイコンユーザーのあらゆる悩みに対し、マイコンメーカーのエンジニアが回答していく連載「Q&Aで学ぶマイコン講座」。

 今回は、上級者から多く寄せられる質問です。


 商用電源(100V)の周波数(50Hzまたは60Hz)を利用して、マイコンの内部クロックを補正したいのですが、電圧変換アダプターを使うとコストアップになります。商用電源(100V)を直接マイコンの汎用IO(GPIO)端子に入力信号として接続できますか?

 一般的なマイコンの動作電圧は3Vまたは5Vです。したがって、AC(交流)、DC(直流)にかかわらず、100V以上の高電圧をマイコンのGPIO端子に印加すると壊れてしまいます。そこで、抵抗で高電圧を分圧し、マイコンの端子には3Vまたは5Vの電圧しか印加されないような回路を構成すれば、電圧変換アダプターを使わずに、100V以上の商用電源をマイコンに接続できます。

 図1にSTマイクロエレクトロニクスのSTM8S005を使った回路例を示します。

図1 抵抗分圧回路例(STM8S005の場合の例) (クリックで拡大)

 GPIO端子に流し込める電流と印加できる電圧はデータシートに記載されています(図2)。そのスペックを超えないように電流制限抵抗と分圧抵抗を計算します。交流電圧を印加するのであれば、マイナス電圧が印加される場合も考慮して抵抗値と構成を決めます。図1の例だと、+141Vが印加される場合、GPIO端子の電圧は5.012Vで、−141Vが印加される場合は0.097Vになります。この時に電流制限抵抗に流れる電流値はそれぞれ146.2μA、−151.7μA、となり、万が一、この電流がマイコンの端子に流れ込んだとしてもスペックを満足します。

図2 絶対最大定格値(STM8S005の場合) (クリックで拡大)

注意事項

 マイコンのGPIOの特性(スペック)は各マイコンの各GPIOで異なります。

 必ずお使いになるマイコンのGPIOのスペックを調べて、スペック違反にならないように回路定数を算定してください。また、電源回路の構成やスペックも関わってきますので、どのような電源回路を使用するのかもよく考慮して回路設計を行ってください。

 特に、日本の商用電源の場合、トランスなどを使用して、機器間の絶縁を十分とる構成にしてください。

 電源回路の設計や回路定数を間違えると、感電事故を起こしたり、マイコンやその周辺回路の破壊を引き起こす危険があります。

*注意事項に、加筆を行いました(2015年1月13日)

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