図1の回路を実際に作って、設計値と実際の値が一致するか確認してみました。
マイコンの電源はDC5V出力のACアダプターを使いました。すると、実測の出力電圧は5.2Vでした。そこで、この条件で図1の回路から+141Vと−141Vが印加された場合のそれぞれの等価回路を作り、連立方程式から各ノードの電流値とGPIO端子の電圧を計算しました。計算内容の詳細を図5に示します。実際の測定値と設計値が一致しますので、この回路で問題ないことが分ります。
実際にAC100Vを印加してSTM8S005を動作させましたが、GPIO端子は破壊せず、問題なく動作しました。
ACではなくDCの正極性の高電圧、または負極性の高電圧を印加する場合、分圧抵抗は、正極性の場合GND側(Rvd)、負極性の場合Vdd側(Rvu)の一方だけで構成可能です。今回はAC印加だったので、正/負極性どちらも考慮して、両方の分圧抵抗が必要でした。
マイコンのGPIOのスペックによっては、電流制限抵抗だけで、分圧回路が不要な場合もあります。
分圧抵抗がなく、制限抵抗だけの場合、保護ダイオードに順方向電流が流れます。この電流を保護ダイオードに流せる電流の限界以下になるように電流制限抵抗を算定します。この時、保護ダイオードには順方向電圧が発生します。したがって、GPIO端子の電圧は「Vdd+順方向電圧」または「GND−順方向電圧」になります(図6)。
これらの電圧がGPIO端子の入力電圧の絶対定格値を超えなければ、分圧抵抗がなくてもマイコンのスペックを満足して使用することができます。
マイコンのGPIOの特性(スペック)は各マイコンの各GPIOで異なります。
必ずお使いになるマイコンのGPIOのスペックを調べて、スペック違反にならないように回路定数を算定してください。また、電源回路の構成やスペックも関わってきますので、どのような電源回路を使用するのかもよく考慮して回路設計を行ってください。
特に、日本の商用電源の場合、トランスなどを使用して、機器間の絶縁を十分とる構成にしてください。
電源回路の設計や回路定数を間違えると、感電事故を起こしたり、マイコンやその周辺回路の破壊を引き起こす危険があります。
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