製造プロセスごとのノイズ耐性の実測実験:ハイレベルマイコン講座【EMS対策】(3)(3/3 ページ)
評価結果(1)から、ノイズ耐性は電源電圧に依存しないと考えられる。実際に動作している内部回路の電源電圧は、内部降圧回路(内蔵レギュレーター)で一定電圧に固定されているため、マイコンの電源電圧にはほとんど依存しないと推測される。
評価結果(2)および(3)からプロセスと製品の開発時期について考察してみる。プロセスが最も古いのはマイコンBの130nm(EEPROM搭載)とマイコンAの180nmで、これらのプロセスはほぼ同時期に開発された。次に開発されたプロセスは、マイコンCの130nm(EEPROM搭載)だが、マイコンBの130nmと時期はあまり変わらない。低消費電力プロセスか否かの違いだ。その後、マイコンDの110nmが開発され、さらに90nmプロセスと続く。マイコンAの製造プロセスは古い製造プロセスだが、製品自体は比較的新しくマイコンDとあまり変わらない。
こうしてみると、マイコンとしてのノイズ耐性は、製造プロセスの微細化ではなく、どちらかというとマイコンの開発時期に依存する傾向がみられる。
実際のマイコン開発では、製造プロセスが微細化されても、回路設計上のノイズ対策が進み、マイコンの総合的なノイズ耐性は向上していると思われる。その効果が表れたのが今回の評価結果であろう。
ノイズ耐性は、製造プロセス(微細化)というよりも、開発時期が新しいマイコンの方が高い。
理由としては、新しいマイコンの方が回路設計上のノイズ対策が進んでいるためだと考えられる。
ノイズは不定で、さまざまな周波数成分(周波数、ピーク電圧など)を持つため、マイコンの使用環境によってノイズの影響はさまざまな現象として生じることを忘れてはならない。
今回の結果は、あくまで限られたマイコン、プリント基板および評価環境を使用し、市販のノイズシミュレーターを使った場合のものであることを認識していただきたい。そのため、結果はあくまで参考値であり、全ての場合に適合するものではない。実際の製品開発では、製品の使用条件の環境で入念に確認する必要がある。
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