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電子レンジの修理(1) 液晶が表示されない10年放置したレンジ編Wired, Weird(2/2 ページ)

» 2023年11月28日 11時00分 公開
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ドアスイッチに異常か

 電子レンジの反対側の側面を見たら内部接続図があった。図4に示す。

図4:電子レンジ側面に貼ってあった表示[クリックで拡大]

 図4の下側に内部接続図があるが、制御電源の接続先がなく、ドアスイッチも記載されていなかった。なお制御基板の実装された電解コンデンサーは劣化していなかった。故障部品はドアスイッチに使用されているマイクロスイッチの可能性が高い。図5に示す。

図5:ドアスイッチのマイクロスイッチ部[クリックで拡大]

 図5に3個のマイクロスイッチが見える。中央がドアスイッチだ。ドアスイッチの2つの端子をテスターに接続したら46Ωの表示が出た。ドアを開閉しても表示は変わらなかった。やはり、ドアの開閉を検知するマイクロスイッチが故障していた。

マイクロスイッチの絶縁膜を剥がす!

 マイクロスイッチを交換すれば修理できるだろう。しかし部品の入手に時間がかかる。そこで、『マル秘のテクニック』を使うことにした。それば直流電源で接点に電流を流し、マイクロスイッチを開閉して、接点表面にできた絶縁膜を剥がす方法だ。直流電源の電圧を2V、電流を0.6Aにしてレバーをオンオフしたが電流は流れなかった。電圧を5Vに上げたが同じだった。電圧を8Vにすると電流が流れた。絶縁膜が剥がれたようだ。マイクロスイッチのレバーを10回ほど動かし、接点に断続的に電流を流し、接点の表面を電気的に磨いた。

 マイクロスイッチを本体に戻して、操作部に基板を戻し、基板のコネクターを接続した。AC100Vを通電したら液晶に表示が出た。図6に示す。

図6:修理後の操作パネル(左)と、出てきたネジ(右)[クリックで拡大]

 図6の左は操作部の写真で、液晶に表示が出た。試しに水を入れたコップを温めてみると正常に加熱した。修理は完了、と思ったら電子レンジの下から長いネジが一個出てきた。図6の右は20mmの長めのネジだ。よく考えたらドアのマイクロスイッチの固定ネジだった。しかし、マイクロスイッチはプラスチックのケースに固定されておりこのネジがなくても動作は大丈夫だろう。ネジが紛失しないようにポリ袋に入れてレンジの上面に貼り付けた。

 10年間使用していかった電子レンジが動作しなかったのは、マイクロスイッチの接点が不良になっていた。長期間使用されなかったためにマイクロスイッチの接点の表面が周辺の空気にさらされ、徐々に表面が酸化して絶縁膜ができたものと思われた。電気的に接点を磨く方法は、部品の入手に時間がかかる時の簡易な方法だが修理には欠かせない『マル秘のテクニック』だ。

 電子レンジは生活必需品で、これがないと生きていけない。今回のトラブルで重要性を再認識した。次回はスタートスイッチの調子がおかしかった電子レンジの修理を報告する。なお、電子レンジは同じメーカーだったので構造は似ており、修理はなんとかできるだろう。

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