環境発電は、いかに発電量を増やすかという段階から、アプリケーションやソリューションを提供する段階に移ってきた。加賀電子とアイテックは、ビルの省エネ用途などに利用できる最終製品を多数見せた。
加賀電子は、環境発電関連の機器を「TECHNO-FRONTIER 2012(テクノフロンティア2012)」(2012年7月11〜13日、東京ビッグサイト)に出展した。
加賀電子は、環境発電大手のドイツEnOceanの電子部品モジュールを2009年から販売している。今回は、2011年10月にEnOcean Allianceに加盟し、同社の技術を利用した機器を開発、販売するアイテックの製品技術デモなどを見せた*1)。「当社はアイテックにEnOceanの電子部品を販売しており、両社が組むことで、ビル向けのソリューションをいつでも提供できる体制が整った」(加賀電子)。
*1) アイテックは、2012年7月から、気温測定用の「アーミン・温度センサー」と、アーミンシリーズが発信する無線を受信し、USB出力に変換する「アーミン・キャッチャー」の受注を開始した。
「省エネと快適性の両立を図るには、照度センサーと連動した調光システムの導入が望ましい。しかし、これだけのために配線工事はできない。償却期間が長くなってしまうことが原因だ」(加賀電子)。データ送信には無線を使えばよいとしても、センサーへの給電手法を工夫しないと給電用ケーブルが必要だ。ボタン電池を使ったとしても電池交換が運用コストとして残ってしまう。そこで、小型太陽電池や、人がボタンを押す力で発電した電力を用いる環境発電を、無線センサーネットワークと組み合わせる手法が良いという(図1)。無線ネットワークを採用することで、工事費を有線工事の10分の1に低減できるという。
アイテックのソリューションはボタンを押す力で動作する無線呼び出しボタン「アーミン・コール」と、無線信号を受け取るレシーバ−、各種センサーなどからなる。例えばユーザーが照明を調整するためにアーミン・コールを利用できる(図2)。
この他、窓枠に配置した「アーミン・あけしめセンサー」(図3)と空調を連動(図4)させたり、踏まれた力で発電し、無線で信号を送信する「アーミン・マット」との組み合わせデモを見せた。
EnOceanはこれまで、全ての無線通信を自社方式で囲い込んでいたが、EnOceanの方式とZigBeeとを組み合わせたサーバも登場したという。「センサー情報を集める際にはEnOceanの方式を用い、それをZigBeeのメッシュネットワークで各所に飛ばすという使い方ができる」(加賀電子)。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.