Arria10の具体的な応用事例として、100Gワイヤライン通信用装置やデータセンター向け装置を挙げた。
Arria 10 SoCでは、動作周波数が1.5GHzのデュアルコアARM Cortex-A9プロセッサをサポートしている。プロセッサの動作周波数は現行品の800MHzに対して、今回は90%も高速化を図ったことになる。Arria 10のサンプル出荷は、2014年上旬を予定している。既に、早期アクセスプログラムに参加している顧客は、開発ソフトウェア「Quartus II」を用いて、Arria 10FPGAの設計を始めているという。さらに、FPGAベースのSoCを展開するに当たり、SoC製品でサポートしていくプロセッサのロードマップも紹介した。
今回のGeneration 10の発表では、ローエンド製品の「Cycloneシリーズ」が含まれていなかった。これに対してDorsey氏は「ローコスト市場を狙ったシリーズも検討している」と話す。さらに2013年4月に発表したTSMCとの技術提携にも触れ、「TSMCと55nm Embedded Flash(EmbFlash)」プロセスを使った技術開発で提携した。この技術をGeneration 10で展開していく。どのファミリに応用するかはまだ明らかにできない。従来のエンベデッドフラッシュ技術を用いたFPGAに比べて、I/O当たりのコストを低減することができる」と述べるなど、55nm EmbFlash技術を用いた低コストファミリを用意する計画があることを明らかにした。
Generation 10では、性能と電力効率を格段に改善した製品と同時に、開発環境も用意した。まず、ハードウェア設計者向けのQUARTUS IIは、コンパイル時間をこれまでより8倍も高速化できるという。また、QUARTUS IIとMATLAB/SimulinkツールをインタフェースするDSPシステム開発ツール「DSP Builder」の提供や、FPGA向けOpenCLのサポートなどがある。こうした生産性の高い開発環境を用いることで、ワイヤレス関連のコアとなる回路部分にFPGAベースのSoCを応用することが容易となった。
さらにDorsey氏は、Generation 10をベースとしたSoCを、ボードレベルで展開する場合の重要なコンポーネントとして電源モジュールを挙げた。Alteraは、ファブレスの電源ICメーカーであるEnpirionの買収を2013年5月に発表し、電源IC事業への参入を図った。Enpirion はFPGAやCPUといった先端IC用のDC-DCコンバータに特化した事業を展開してきた。Enpirion の電源モジュールは、外形寸法が競合製品を使ったものに比べて最大1/7のサイズにでき、高さも20%低く抑えることができるという。同社では、この電源ICを次世代FPGAで先行していくために必要なキーテクノロジの1つと位置付けている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.