アジレント・テクノロジーの「Agilent 4300」は、従来のハンドヘルド製品に比べて、スキャン速度と測定感度を向上しつつ、重さは35%も軽量化を図ったハンドヘルドFTIR(フーリエ変換赤外分光光度計)である。航空機や自動車、ソーラーパネルなどに用いられるコーティング材料や複合材料、ポリマーといった先端材料の分析などの用途に向ける。
アジレント・テクノロジーは2014年4月4日、従来のハンドヘルド製品に比べて、スキャン速度と測定感度を向上しつつ、重さは35%も軽量化を図ったハンドヘルドFTIR(フーリエ変換赤外分光光度計)「Agilent 4300」を発表した。航空機や自動車、ソーラーパネルなどに用いられるコーティング材料や複合材料、ポリマーなど先端材料の分析をはじめ、将来は食品分野での肥料検査や果実の品質評価などの用途に向ける。
Agilent 4300は、分析対象物のある現場に機器を持ち込み、非破壊で先端材料などの同定や評価を行うことができる。同社はこれまでもハンドヘルド型のFTIRを供給してきたが、新製品はさらなる軽量化と、高感度で高速な測定を可能とした。これによって、測定対象物/測定ポイントが多数あるような場合でも、迅速な測定が行え、かつ作業者の負荷も減らすことができるという。
Agilent 4300は、大きく3つの特長がある。まず、軽量化を図った。バッテリを2個収容しても重さはわずか2.2kgである。これは、従来の「4100 ExoScan」に比べて35%も軽くなった。従来製品の性能は維持しつつ、干渉計の小型化を図ったことや、省電力設計によりバッテリを小型にできたことで軽量化を実現したという。
次に、作業性を高めるデザインとした。4100 ExoScanでは必要なコンポーネントが頭部へ集中した構造となっていた。これに対してAgilent 4300は、上部に検出部を、下部にバッテリをそれぞれ分けて配置する構造に変えた。中間でバランスが取れるようにしたため、長時間の測定作業でも疲れにくくなったという。
3つ目がスキャン速度の向上と感度を高めたことである。Agilent 4300は、2種類の検出器を用意した。DTGS(重水素化硫酸トリグリシン)検出器を搭載したモデルと、MCT(水銀カドミウムテルル)検出器を搭載したモデルである。DTGS検出器は、幅広い波長領域をカバーすることができ、日常的な分析に向いている。これに対して、MCT検出器は熱電冷却機能を備えており、高い感度や高速なスキャン速度が要求される用途に適しているという。例えば、DTGS検出器はスキャン速度が毎秒2.3スキャンだが、MCT検出器を搭載したモデルでは毎秒5.6スキャンと、約2.4倍も高速となる。ソフトウェアレスポンスも4100 ExoScanの1秒に対して、Agilent 4300では0.3秒と向上した。感度は25%向上したという。
Agilent 4300には、交換が可能な5種類のインタフェースが用意されている。従来モデルでは1種類しか対応していなかったが、Agilent 4300では測定対象物によって、その目的に適したインタフェースを取り付けることで、幅広い材料の分析に対応することが可能となる。しかも、各インタフェースにはRFIDチップが搭載されており、Agilent 4300に内蔵されたソフトウェア「Microlab Mobile」が、取り付けられたインタフェースを自動で認識してゲインの自動調整などを行う。また、Agilent 4300はGPS機能も備えており、サンプリング地点もデータと一緒に記録することができる。
Agilent 4300の価格は500万円より。製品の受注は既に始めており、出荷開始は2014年5月初めを予定している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.