シーケンサーのラダープログラムの作成は読者には簡単だと思うが、自己保持回路と点滅回路のラダー図例を図3に示す。
図3の上側が自己保持回路で起動スイッチX0を押すと電源Y0が入り、Y0のオン状態が保持される。停止スイッチX1を押すと保持回路が切れる。起動スイッチX0を接点Y0とオアすることで自己保持ができる。この回路は基本中の基本なのでよく理解してほしい。
図3の下側のラダー図は点滅回路だ。出力Y0がオンになると出力Y1に接続されたLEDが10秒間点滅動作を行う。タイマーゼロT0は0.1秒単位で時間設定できるがK100を指定することで10秒タイマーが設定される。T1とT2のタイマーでK5を設定すると出力Y1が0.5秒のオンオフを繰り返しT0がタイムアップすると出力Y1がオフするように動作する。図4にデバッグした図を示す。
デバッガーは非常に強力でプログラムの動作がPC上で確認できる。青色になった接点と出力はオン状態を意味する。また接点はオンとオフの設定が別のウインドーで可能であり、必要な部分のラダー回路の動作も確認できる。図4は起動スイッチX0をデバッガーでオンにした時の動作を確認しているが、デバッガーにはタイマーの現在値も表示されるので分りやすい。この他に、OR回路、AND回路、カウンター回路などのラダー回路を駆使して全体のプログラムを構成する。
プログラムの作成で注意しなければならない点が1つある。それはコンパイルが正常でも動作しないプログラムがあるということだ。具体的には『2重コイル』と言われているが、同じ出力を2重に使うと、上位にあるラダー図の出力が下位にある同じ番号の出力で書き換えられてしまい、プログラムの前半の出力動作が実現できなくなってしまう。
複雑なプログラムでは間違えやすいので同じ出力を2重に使わないように配慮することが肝要だ。対策として補助メモリーの『M』をうまく使うことで、複雑なシーケンスも確実にプログラムできる。GX WorksはPC上でプログラムの作成やデバッグが体験できるので、読者もぜひ、インストールしてシーケンサーのプログラムを勉強してほしい。
検定の話に戻るが、検定試験のスケジュール表には試験の実施前に『試験問題の公開』と記載されていた。この記載が依頼者に『試験問題は事前に開示されプログラムを組んで動作を確認しておくことができる』と勘違いさせた原因だった。スケジュール表にあった試験問題の公開日に試験機関に問い合わせたら、受験者には問題は開示されず、試験当日に配布されるということだった。これは大きな痛手だ。これでは試験時に試験問題のプログラムを考えて作ることになる。プログラムの作成も含めてシーケンサー関連の作業を90分で完了させるには、初心者にはかなり難しい。しかも、時間がない。プログラムの作成方法を指導しなければ……。
次回は具体的なシーケンサーの技術検定に近い例題でプログラムの作成方法を説明する。プログラムの例題は高等専門学校の学生向けのインターンシップで使ったものだ。
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