巻き線のI2R損失は、フライバックトランス設計のセクションで示した式と同じ式で計算できます。トランスのピーク磁化電流は、逆にインダクタンスに依存するので、一次側インダクタンスが高いことが有益になります。
ここで、フライバックとフォワードトポロジーの2つのトランス設計を比較してみます。
| 項目 | フライバック | フォワード |
|---|---|---|
| コアサイズ | EP10 | P9/5 |
| 一次側巻き線 | 28ターン | 12ターン |
| 二次側巻き線 | 28ターン | 20ターン |
| リセット巻き線 | なし | 12ターン |
| 合計 | 56t | 44t |
| 表1:フライバックとフォワードのトランス設計の比較 | ||
フォワードコンバーターは巻き線数が少ないですが、3つの個別巻き線が必要で、組み立てにより時間がかかります。これは、しばしばフォワードトポロジーよりフライバックが、低電力コンバーターの設計に使われる理由です。しかしながら、高電流の設計に関しては、フライバックトポロジーのエネルギーのパルス転送に対して連続転送のフォワードコンバーターが優位で、トランス設計により多くの組み立て作業を要しても、それに値する価値があります。
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※本連載は、RECOMが発行した「DC/DC知識の本 ユーザーのための実用的ヒント」(2014年)を転載しています。
電磁気学入門(10)フライバックトランスの設計
電磁気学入門(9)フォワードコンバーターのトランス設計
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