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電磁気学入門(12)疑似共振フライバックモードのトランス設計DC-DCコンバーター活用講座(55)(2/2 ページ)

» 2024年07月18日 10時00分 公開
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 巻き線のI2R損失は、フライバックトランス設計のセクションで示した式と同じ式で計算できます。トランスのピーク磁化電流は、逆にインダクタンスに依存するので、一次側インダクタンスが高いことが有益になります。

<strong>式2:QRコンバーターの一次側ピーク電流の計算</strong> 式2:QRコンバーターの一次側ピーク電流の計算

 ここで、フライバックとフォワードトポロジーの2つのトランス設計を比較してみます。

項目 フライバック フォワード
コアサイズ EP10 P9/5
一次側巻き線 28ターン 12ターン
二次側巻き線 28ターン 20ターン
リセット巻き線 なし 12ターン
合計 56t 44t
表1:フライバックとフォワードのトランス設計の比較

 フォワードコンバーターは巻き線数が少ないですが、3つの個別巻き線が必要で、組み立てにより時間がかかります。これは、しばしばフォワードトポロジーよりフライバックが、低電力コンバーターの設計に使われる理由です。しかしながら、高電流の設計に関しては、フライバックトポロジーのエネルギーのパルス転送に対して連続転送のフォワードコンバーターが優位で、トランス設計により多くの組み立て作業を要しても、それに値する価値があります。

⇒「DC-DCコンバーター活用講座」連載バックナンバーはこちら


執筆者プロフィール

Steve Roberts

Steve Roberts

英国生まれ。ロンドンのブルネル大学(現在はウエスト・ロンドン大学)で物理・電子工学の学士(理学)号を取得後、University College Hospitalに勤務。その後、科学博物館で12年間インタラクティブ部門担当主任として勤務する間に、University College Londonで修士(理学)号を取得。オーストリアに渡って、RECOMのテクニカル・サポート・チームに加わり、カスタム・コンバーターの開発とお客様対応を担当。その後、オーストリア、グムンデンの新本社で、RECOM Groupのテクニカル・ディレクタに就任。



※本連載は、RECOMが発行した「DC/DC知識の本 ユーザーのための実用的ヒント」(2014年)を転載しています。

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