IRジャパンは、GaNパワー半導体を高耐圧の領域にも広げる。これまで30V品を製品化してきたが、今後、汎用電源に利用する600V品の開発を進める。
インターナショナル・レクティファイアー・ジャパン(IRジャパン)は、GaN(窒化ガリウム)パワー半導体を用いた「AC/DC GaNpowerIR電源デモ・ボード」を、「TECHNO-FRONTIER 2012(テクノフロンティア2012)」(2012年7月11〜13日、東京ビッグサイト)に出品した(図1、図2)。耐圧が600Vと高い汎用電源である。
「当社では2年前から耐圧600VのGaNスイッチング素子を試作しており、今回初めて公開した。今後は特定のユーザー企業から使いにくいところの指摘を受け、改善していく」(同社)。なお、サンプル出荷時期は未定だ。
電源ボードに用いたGaNパワー半導体はHEMT(High Electron Mobility Transistor)である。HEMTはノーマリーオンであるため、Si MOSFETをカスコード接続し、GaN HEMTと1パッケージにまとめた(図3)。「ユーザーがノーマリーオン特有の回路構成を工夫する必要はない」という。
同社はこれまでGaNパワー半導体は低耐圧の領域に向くと説明しており、耐圧30V以下のGaNパワー半導体の出荷を既に開始している。なお、GaNパワー半導体を用いた電源は、低負荷の領域でSiと比較して効率が有利になる(図4)。
<変更履歴>記事の掲載当初、図4で、「定格負荷ではSiパワー半導体との差が出にくいが、低負荷の場合の効率ではGaNが有利である」としていましたが、これを「定格負荷ではGaNパワー半導体が、Siパワー半導体よりも3%効率が高い。低負荷(10%負荷)の場合は17%高効率である」と変更いたしました。上記記事は既に変更済みです。
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