高輝度LEDでは25mA以上の電流を流すものもあります。そのような場合、大電流ポート1本ではLEDは駆動できません。例えば定格電流が50mAのLEDを考えてみましょう。
8割の電流を流すとすると50mA×0.8=40mAになります。従って、I=40mAで計算します。順方向電圧Vfは、先ほどと同じ1.4Vで計算してみましょう。I=40mAの場合、制限抵抗Rは(Vs-Vf)/Iの式で求められますので、R=(3.0V-1.4V)/40mA=40Ωになります。今回は2つのNMOSを並列で使いますので、1つのNMOSに流れる電流値は40mA÷2=20mAです。先ほどと同じ20mAが流れるのでオン抵抗は65Ωになります。従って、2つのNMOSの合成抵抗は、65Ω÷2=32.5Ωになります。R=40Ωから32.5Ωを引くと7.5Ωになりますので、直列に接続する抵抗は7.5Ωになります。
2つのGPIOから同時に“Low”を出力するとLEDは点灯し、“High”を出力すると消灯します。
このように2つの大電流ポートのGPIOを使うと、50mAのLEDでも駆動できます。
(1)絶対最大定格値は守る
先ほどの例に使用したSTM32の絶対最大定格値の表(図4-b)に、IVDDというパラメータがあります。これはマイコンの電源に流すことができる最大電流値です。表を見ると、この値は150mAです。大電流ポートを使って複数個のLEDを同時に点灯させることはできますが、その場合には、この電流値を超えないようにしないといけません。この電流値を超えるとマイコンが損傷したり、ラッチアップを起こしたりします。
(2)PMOSを使う場合
今回はNMOSをスイッチ素子として使用しましたが、PMOSの大電流ポートがあれば、PMOSを使うことも可能です。計算の原理も同じですので、VDD-VOHとIOHを使って、PMOSのオン抵抗を求めます。
(3)実際の回路設計
今回使用した特性数値は例ですので、実際に回路設計を行う場合は、LEDの特性とマイコンのGPIOの特性をデータシートやマニュアルで調べてください。LEDやマイコンのGPIOには、いろいろな種類がありますので、適正な値を使用しないと損傷する恐れがあります。
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