表2のところでも簡単に触れましたが、ラプラス素子の畳み込み積分には「全体の波形をどのように分割するか?」という調整項目(問題?)があります。
LTspiceのHelpファイルによれば調整項目としてWindow値とnfft値があり、それらの基本的な考え方は次の通りです。
インターネット上の情報を総合するとLTspiceのラプラス素子は次のように計算しているようです。
(筆者の個人的な見解ですがその他のツールも大きくは変わらないと思います)
*3)nfftが設定されていない場合は最初のインパルス応答に含まれる高次周波数成分を参考にnfftを自動で設定しているようです。また、基準インパルス応答波形を求める手法にはいくつかの方法があるようです。
ここまで説明してきたようにラプラス素子を使用することで周波数特性と過渡応答特性を同じ回路図で解析できることが分かりましたが、V&Vを考えるとnfft値とWindow値が結果にどのような影響を与えるか検証しておく必要があります。
次回はこのラプラス素子を使った解析結果の妥当性について検証していきたいと思います。
加藤 博二(かとう ひろじ)
1951年生まれ。1972年に松下電器産業(現パナソニック)に入社し、電子部品の市場品質担当を経た後、電源装置の開発・設計業務を担当。1979年からSPICEを独力で習得し、後日その経験を生かして、SPICE、有限要素法、熱流体解析ツールなどの数値解析ツールを活用した電源装置の設計手法の開発・導入に従事した。現在は、CAEコンサルタントSifoenのプロジェクト代表として、NPO法人「CAE懇話会」の解析塾のSPICEコースを担当するとともに、Webサイト「Sifoen」において、在職中の経験を基に、電子部品の構造とその使用方法、SPICE用モデルのモデリング手法、電源装置の設計手法、熱設計入門、有限要素法のキーポイントなどを、“分かって設計する”シリーズとして公開している。
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