それでは、SMTリレーメーカーは、実装不良の発生プロセスをどの程度把握しているのだろうか?検索サイトで「SMTリレー 保管」の2つのキーワードで検索すると上位に出てくるSMTリレーメーカー3社(NECトーキン、パナソニック、オムロン)について、各社のWebサイトで説明しているSMTリレーの保管条件を調べてみた。
NECトーキンの保管条件の注意事項(出典:NECトーキンWebサイト)
パナソニックの保管条件の注意事項(出典:パナソニックWebサイト)
オムロンの保管条件の注意事項(出典:オムロンWebサイト)
3社の注意事項をまとめると、“SMTリレーの吸湿により、リフロー時の高熱でSMTリレーの気密が保たれなくなる”ことは示唆しているが、具体性に乏しい。
なお、パナソニックは、SMTリレーの保管上の注意をかなり詳細に説明しており、出荷時の防湿処理も十分だと思われる。しかし、NECトーキンとオムロンについては、吸湿によってSMTリレーが機密不良になることを示唆しているが、注意が甘いようにも思える。SMTリレーの湿度管理をしっかり行わないと吸湿してしまうこと、それによってリフロー時の高熱でSMTリレーが機密不良になってしまうこと、そしてフラックスがSMTリレーの内部に浸入して動作不良を引き起こす可能性があることを明記して、回路基板メーカーに注意を喚起すべきだろう。
筆者は長年、回路基板や電子部品の不具合解析を行ってきたが、リレーのコイルが断線する不良を発見したのは今回が初めてである。コイルが断線するまでの状態になるには、リレーの内部に大量の洗浄液とフラックスが浸入したことが予想される。極めて珍しい事故だった。
なお、この不具合発生のプロセスをより深く調査したところ、封止材のエポキシとフラックスが高温状態で反応することが分かった。この事例は、次回で詳細に報告する。
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