(1)論理回路の規模
RSICの場合は、命令が行う処理が簡単なため、論理規模も小さく作れます。CISCの場合は、複雑なので論理規模が大きくなる傾向があります。そのためマイクロROM方式を採用して対応しています。
(2)開発期間
ユーザーには直接関係しませんが、RISCの場合、論理規模が小さいので、マイコンの論理回路設計に費やす労力とコストを少なくすることができます。ただし、最近は自動設計ツールが発達したので、論理規模が大きくても、あまり影響がないかもしれません。
(3)高性能化
最近では、CISCでもRISCの利点、RISCでもCISCの利点を取り入れたマイコンが出てきて、どちらの方式が高性能かを一概にいうことはできません。
そのため、マイコンの性能を評価するベンチマークの方式、MIPS、DMIPS、COREMARK等の評価結果が各マイコンで公開されていますので、選定にあたってはそれらも参考にします。
(4)コード密度
CISCは1命令で複数処理が行われます、RISCは複数の命令を使用しますので、同じ処理をしたい場合にRISCは不利と考えられます。しかし、RISCの代表的な製品のARM社のCortex-Mシリーズでは16ビット長命令と32ビット長命令を混在させることによって、コード効率を上げるように設計されています。
(5)パイプライン障害
分岐命令などによって、パイプラインが途切れて無駄なサイクルが入ってしまうことを、パイプライン障害といいます。パイプライン障害は理論的に完全に解決することはできません。そのため、被害を最小にする工夫がされています。例えばCortex-Mシリーズでは、分岐命令の場合に分岐先を予測する機能を付けて、パイプライン障害を最小にするように設計されています。
これらを表1にまとめました。
こうして見ると、CISCとRISCはそれぞれに長所、短所があります。ユーザーが自分の用途にあった仕様のマイコンを選んでもらうことが、最善の方法だといえます。
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