三菱電機は、SiC(炭化ケイ素)によるダイオードを用いて、高速スイッチング特性を最適化したパワー半導体モジュールのサンプル出荷を開始した。
三菱電機は2014年5月15日、高速スイッチングが求められるパワーエレクトロニクス機器向けに、ダイオード部にSiC(炭化ケイ素)によるダイオードを用いたハイブリッドタイプのパワー半導体モジュール(2in1タイプ)6種のサンプル出荷を開始した。
太陽光発電用パワーコンディショナーや無停電電源装置(UPS)、医療機器用電源は比較的高速なスイッチング特性を持つパワー半導体モジュールが求められる。三菱電機も、これらの用途に対し、スイッチング特性を最適化したパワー半導体モジュール「NFHシリーズ」を展開してきた。
今回、このNFHシリーズで、ダイオード部にこれまでのシリコンダイオードに代わってSiCショットキーバリアダイオード(以下、SiC-SBD)を用いた製品を新たに開発し、サンプル出荷を始めた。
SiC-SBDの採用によりリカバリー電流の発生を抑えたことで、スイッチング損失を大幅に低減した。電力損失は従来製品に比べ約40%低減したという。パッケージには、高速スイッチングに対応した低インダクタンスパッケージを採用。定格電流100A品、150A品は従来製品に比べ、内部インダクタンスを約3割抑えた。モジュール外形は、従来製品と互換性があり、置き換えることができる。
新製品は全て1200V耐圧で、定格電流100A、150A、200A、300A、400A、600Aの6種となっている。三菱電機では、「電力損失の低減によりヒートシンクの小型・軽量化や、高周波化によるリアクトルなど周辺部品の小型・軽量化に貢献する」としている。
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