情報通信研究機構は、スマートメーター用通信標準規格「ECHONET Lite」と国際無線標準通信規格「Wi-SUN」の両規格を搭載した無線機を開発した。「Wi-SUNが、ECHONET Lite向けホームネットワーク通信インタフェースとして商用に十分耐え得ることが証明された」(NICT)。
情報通信研究機構(以下、NICT)は2013年5月23日、スマートメーター用通信標準規格「ECHONET Lite」と国際無線標準通信規格「Wi-SUN」の両規格を搭載した無線機を開発したと発表した。NICTでは、「両規格を搭載した世界で初めての無線機」とする。
ECHONET Liteは、エコーネットコンソーシアムが策定したスマートメーターや家電機器と、家庭用エネルギー管理システム(HEMS)やビル用エネルギー管理システム(BEMS)を接続するための国際標準通信規格であり、主にアプリケーション層に関する通信規格となっている。
一方のWi-SUNは、トランスポート層/ネットワーク層/データリンク層/物理層といった下位層と呼ばれる部分を規定したもの。NICTが、IEEE802.15.4g/4eをベースに国内外30社とともにWi-SUNアライアンスを通じて策定してきた。加えて、Wi-SUNは、情報通信技術委員会(TTC)で制定したECHONET Lite向けホームネットワーク通信インタフェース規格である標準規格「JJ-300.10」に標準方式として採択され、電気事業者が公開したスマートメーター用推奨通信仕様としても採用されている。ただこれまでは、Wi-SUNに準拠し、かつエコーネットコンソーシアムが規定した規格適合性認証審査に合格した無線機の開発例は、なかったという。
今回NICTは、Wi-SUN アライアンスから提案され国内標準として制定されたTTC JJ-300.10規格(方式Aおよび方式C)に準拠し、かつECHONET Lite規格を搭載した無線機の開発に成功した。無線機は、スマートメーターや家電、HEMS、BEMSなどに組み込むことで、機器制御やエネルギー管理を無線で簡単に行える。IPv6、6LoWPAN、non-IPに対応する機能が搭載され、各種ネットワークに柔軟に対応できるという。
NICTは「ECHONET Lite規格にWi-SUN規格の機能を初めて実装し、かつエコーネットコンソーシアムの審査に合格していることから、近い将来、商用につながると期待される。NICTは今後も、Wi-SUN仕様に準拠し、電気事業者、ガス事業者の仕様に対応したスマートメーター/HEMS/BEMS向けの無線機の研究開発を行いながら、開発品の技術移転を推進していく」としている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.