「HM-M100」は、M2M(Machine to Machine)通信に向けたデータ通信モジュールで、LTE(Long Term Evolution)/3Gに対応している。近距離無線通信規格を利用したこれまでのM2M通信に比べて、新製品はデータ通信を高速に行え、エリアカバーが広い通信環境を提供する。
セイコーインスツル(以下、SII)は2013年10月、ネットワークに接続された機器同士が情報を交換し、さまざまな制御を自動的に行う仕組みであるM2M(Machine to Machine)通信に向けて、LTE(Long Term Evolution)/3Gに対応したデータ通信モジュール「HM-M100」を発表した。10月中旬より発売する。近距離無線通信規格を利用したこれまでのM2M通信に比べて、新製品はデータ通信を高速に行え、エリアカバーの広い通信環境を提供することが可能となる。
HM-M100は、NTTドコモのLTE「Xi」ネットワークに対応しており、受信時で最大100Mビット/秒、送信時で最大37.5Mビット/秒の高速データ通信が可能である。このため監視カメラのデータでも、高品質の映像を送ることが可能となった。LTEで対応する周波数帯は2.1GHz、800MHz、1.5GHzである。FOMAハイスピード(HSDPA/HSUPA)ネットワークも利用することができるため、利用可能なサービスエリアは広い。同モジュールの外形寸法は約31×45×4.4mmで、重さは約13g。電源電圧は直流3.2〜4.2V。動作温度は−20〜60℃。
HM-M100は、高速通信や広いエリアをカバーできるといった特長に加え、新たな機能やサービスを提供することができる機能を備えた。その1つが位置測位機能である。これまでの米国「GPS」に加えてロシアの「GLONASS」にも対応できる。また、スタンドアロンモードでは、LTE/3Gの電波が届かないサービス圏外エリアであっても、GPS/GLONASSからの情報のみで位置測位を行うことができる。もう1つは緊急速報「CBS/ETWS」への対応だ。緊急地震速報や津波警報、災害非難情報といった緊急速報を受信した場合、HM-M100が組み込まれた機器側から、受信した情報を読み出せる。
M2M通信はこれまで、自動販売機や計測機器などの遠隔監視や保守、各種センサーからのデータ収集などの用途で、比較的多く用いられてきた。このため、「ZigBee」や「Bluetooth」といった、消費電力が小さくて近距離の無線通信に適した規格が一般的に使われてきた。ここにきて、M2M通信でも高速通信の要求や、新しいサービスへの対応などが求められてきたことから、同社はLTE/3G対応のデータ通信モジュールを製品化した。
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