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パワートレインの新しいトレンドに対応した集積回路電子回路設計技術 自動車(3/3 ページ)

» 2014年06月30日 09時00分 公開
[Johan Janssens, Marcos Laraia, Bart De Cock,ON Semiconductor]
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ブレーキ・ペダル用誘導位置センサー・インタフェース

 通常のブレーキ・ペダルには、ブレーキ・ランプの点灯を判断するためのスイッチしかセンサーは付いていません。ブレーキ・エネルギー回生(regen)機能を追加した場合は、新しいブレーキ・ペダル位置センサーが必要です。基本的に、標準的な摩擦ブレーキ装置はブレーキ・ペダルの正確な変位を測定する制御システムを設置してアップグレードされます。ブレーキ・ペダルをわずかに踏み込んでも、摩擦ブレーキ装置は作動しません。このブレーキ・ペダルを踏んでも摩擦ブレーキ装置が作動しない部分は「回生バンド」であり、エネルギー回生システムがブレーキ・ペダルの変位を測定して、走行中の自動車でどれだけの運動エネルギー量を、一時エネルギー貯蔵部に転送する必要があるか判断します。このエネルギー貯蔵には多くの形態があります。自動車メーカーは、空圧または油圧貯蔵部、48Vバッテリー、スーパーキャパシタ、あるいはフライホイールから選択するでしょう。マイルド・ハイブリッドは、次の加速フェーズ中の限られた時間に蓄積したエネルギーを推進力に逆変換しますが、マイクロ・ハイブリッドは電気的回生のみを使用して、長期間にわたりボードネットに電力を供給します。

【図4】誘導位置センサー・アプリケーションのブロック図

 「回生バンド」中にブレーキ・ペダルの正確な位置を測定するために、アクセル・ペダルと同様の技術を用いることができます。図4に、このようなアプリケーション向けの非接触式センサー・ソリューションのブロック図を示します。

 最新の誘導センサー・インタフェースは、先進的なフロントエンド・フィルタをインテリジェント処理と組み合わせて利用しています。オンチップ・ドライバは、少なくとも1個の励磁インダクタを介してセンサーを刺激します。センサーの結合出力インダクタは、励起インダクタと出力インダクタの相対位置情報を含む信号を生成します。インダクタの相対位置がどれだけ変動するかは、選択したセンサーの設計に大きく依存し、一般的に直線または回転運動の結果として得られます。集積回路は次にセンサーの電気的入出力信号をデジタル位置情報に変換します。この抽出位置は、顧客の要求や好みに応じて、インタフェースを介してマイクロコントローラに伝達されます。レシオメトリック電圧から、Sin-Cos電圧、PWM、SENT、PSI5に至るまで、幅広いセンサー・インタフェース出力形式をサポートするために独自のミックスド・シグナル・ソリューションを選択できます。

 このセンサー分野の半導体サプライヤーは、必要な技術的能力に加え、ISO26262に対する正しい姿勢も必要です。自動車のペダル・アプリケーションの多くは安全性に直結しており、適切なISO26262の理解、方法論、およびツールセットによってこれに対処する必要があります。誘導センサーは、一部の機能に対して同じ構造を共有して、独立したデータ出力し、モジュール・レベルでASIL-Dを達成する冗長構成で構築できます。新しい適応可能な安全規格を採用した回生アプリケーションの登場が、業界を誘導センサーとのインタフェース用の新型集積回路の開発に駆り立てています。

まとめ

 電子部品の開発者やサプライヤーは、将来のパワートレインに向けた道筋の差別化を図っています。マイクロハイブリッドやマイルドハイブリッドでは燃費向上はわずかですが、費用対効果は高くなります。これが次世代パワートレインの基礎を築きながら、大部分の自動車を新技術の方向に着実に進化させる、堅実な自動車向け段階的アプローチです。

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